低線量マルチスライスCT肺がん検診
はじめに
肺がんは全国的に増加傾向にあり、本邦における2005年の統計によると、全がん死の19%を占め、年間62,000人強が肺がんにより死亡しています。男性では全がん死のトップを、女性では2位を占めています。
肺がんの8割を占める非小細胞性肺がんでは、直径3cm以下で近くのリンパ節に転移のない早期がんの場合でも、治療後に10〜15%が再発すると言われ、肺がん全体の5年生存率は40%程度と不良です。
また、中〜高齢者では慢性閉塞性肺疾患(COPD)と呼ばれる肺の組織が破壊されて肺機能の低下を来す疾患が増加しています。この疾患は喫煙歴の長い人に特に多く、慢性的な咳や痰がみられるとともに、軽い運動でも息切れを感じるようになり、進行すると日常の動作も辛くなります。この疾患は、肺がんの危険因子としても注目されています。
CT肺がん検診の意義
一般に、肺がんを見つけるための通常の検診では、胸部エックス線撮影(いわゆるレントゲン撮影)と喀痰細胞診(「たん」の顕微鏡検査)が主流です。胸部エックス線撮影は肺の奥にできるがん(肺野型肺がん)の検出に、喀痰細胞診は肺の入り口付近にできるがん(肺門部肺がん)の発見に有用とされています。
肺野型肺がんの方が多く、また増加しています。しかし、胸部エックス線撮影では腫瘍の直径が2〜3cm以上にならないと発見が難しいと言われ、また、心臓や血管、骨などに重なる部分では、さらに見つけるのが難しくなります。
そこで、より早い段階の小さながんを発見して治療すれば、肺がんによる死亡率を減らすことが出来るのではないかという考えのもとに、1993年頃から一部の施設でCTを用いた肺がん検診が始められました。
CTを用いた肺がん検診の有用性について、 2011年に米国から大規模な研究論文が発表され、CT検診の方が胸部エックス線検診に比べ肺がんによる死亡率が低下したと報告されました。この研究は、53,000人以上の重喫煙者および元重喫煙者を対象に、肺がんの検診を3年間、低線量CTで行ったグループと胸部エックス線撮影によるグループに無作為に分けて、その後の健康状態を追跡比較したところ、CT検診のグループの方が肺がんによる死亡が20%少なかったというものです。
当院のマルチスライスCTによる低線量CT肺がん検診
- 16列マルチスライスCTを用いて、10〜15秒程度の一回の息止めで、 肺全体のCT画像を撮影します。
- CTの撮影条件を肺がん検診用に最適化し、通常の胸部CTに比べ被曝量を10〜15分の1に抑えた低線量モードで撮影いたします(実効線量1ミリシーベルト前後)。
- 従来のヘリカルCTによる肺がん検診では7〜10mmの輪切り画像(横断像)のみでの診断でしたが、16列マルチスライスCTを用いることで、少ない被曝量ながら、1.3〜3mmのより薄い断面の画像で観察することができるため、5mm以下の小さな病変もより明瞭に描出することができます。また、必要に応じて、コンピュータで画像を再構成することで、横断像だけでなく冠状断像や矢状断像といった異なった方向の断面でも観察できるため、より詳細に診断することが可能です(図)。
- 低線量CT検査は、特に肺野型肺がんの検出に有用ですが、その他、肺結核、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺線維症など、他の肺病変の描出も通常のエックス線撮影に比べて優れています。
- 経験豊富な放射線診断専門医(肺がんCT検診認定医師)が読影し評価します。
こんな方にお勧めします
- 喫煙している方、あるいは以前喫煙していた方(特に喫煙指数 [1日の喫煙本数x年数] が600以上の方は危険度が高いです)
- 血縁のあるご家族にがんの方がいらっしゃる方
- 風邪など引いていなくても、咳や痰が出る方
- 痰に血が混ざる方(血痰)
- 軽い運動などで息切れが気になる方
- 50歳以上の方(男女問わず)
※ 被曝線量は通常のCTより低く抑えておりますが、妊娠中の方や妊娠の可能性のある方は受診をお控え下さい。
検査項目と注意点
- 低線量マルチスライスCT検査
- 上半身に金属の無い服装でCT装置のベッドに仰向けに寝ていただきます(服装によっては検査着に着替えて頂く場合があります)。 10〜15秒程度の息止めで撮影します。
- 痛みなどはありません。
- 検査は5〜10分程度で終わります。
- 検査に当たり、飲食などの制限はありません。
- 喀痰細胞診(オプション)
- 痰の中に混じった細胞を顕微鏡で観察して、がん細胞がないかどうかを調べます。
- 本検査は肺門部(肺の入り口近く)のがんの発見に有効とされています。
- 痰の出る方(特に喫煙者)は、本検査も受けることをお勧めします。
- 但し、本検査の結果が正常でも肺がんがないという証拠にはなりません。
- 本検査を受診する場合は、前もって喀痰細胞診のキットをご自宅にお送りします。3日間分の痰の採取が必要ですので、同封の指示に従って痰を採取して、検査当日に持参してください。
- 肺機能検査(オプション)
- 肺活量などを測定するスパイロメーターという機械を使って検査します。
- 装置に接続したマウスピースを口にくわえて、息を吸ったり吐いたりして肺機能を測定します。
- 同性同年代の正常データと比較した「肺年齢」を算出しますので、自分の肺の健康状態を把握することができます。
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の早期には自覚症状が少ないため、本症の早期診断に役立ちます。
検査料金
□ 低線量マルチスライスCT検査 ・・・・10,000円(税別)
□ 喀痰細胞診(オプション) ・・・・ 3,500円(税別)
□ 肺機能検査(オプション) ・・・・ 3,500円(税別)
□ 面談による結果説明(オプション) ・・・・ 3,000円(税別)
- 喀痰細胞診、肺機能検査はオプションですので単独での受診はできません。CT 検査と組み合わせてお申し込み下さい。
- CT検査、喀痰細胞診、肺機能検査の全てを受診する場合は16,000 円(税別)となります。
- 結果の説明について、医師との面談を希望される場合は、検査後2週間以降に予約してください。
※ 本検診には保険は適用されませんのでご注意下さい。
検査結果
- 検査結果は後日文書にて郵送いたします(検査後2週間程度)
- 疑わしい所見があり精密検査が必要な場合は、結果のお知らせと一緒に精密検査のご案内をお送りします。
- 当院で精密検査を行い、必要に応じて、 経過観察したり、適切な医療機関にご紹介したりいたします。この場合は、精密検査も含め保険診療で可能です。
- 他の医療機関で精密検査や治療などをご希望の場合は、CT 画像を含め全ての検査結果をご提供することができます。お気軽にご連絡下さい。
ご予約・お問い合せ
- 【 全コースともに完全予約制です 】
- 祝祭日を除く月〜土曜日(水・土は午前中のみ)に随時行っています。
お電話(022-375-1231)にて、ご都合に合わせてご予約下さい。
検査内容などについてのご質問などもお気軽に 【 こちら 】 までお問い合わせくださいませ。